レーザー兵器の進化。技術と実現とレーザーが登場する作品
レーザー兵器とは、レーザー(光の増幅放射)を利用した武器のことです。
レーザー兵器は、SF作品においてよく登場するオーバーテクノロジーの一つですが、現実にも様々な研究や開発が行われています。
本記事では、レーザー兵器の技術的な原理と実現可能性、そしてレーザー兵器が登場する代表的なSF作品について紹介します。
レーザー兵器の進化。技術と実現とレーザーが登場する作品
レーザー兵器の原理と実現可能性
レーザー兵器は、レーザーを発生させる装置と、それを照射するための照準装置から構成されます。
レーザーは、電子が励起された原子から放出される光子を反射鏡で増幅させることで生成されます。
レーザーの特徴は、波長がほぼ一定であること(単色性)、波面が平行であること(方向性)、位相が揃っていること(干渉性)です。
これらの特徴により、レーザーは高いエネルギー密度と集中力を持ちます。
レーザー兵器の実現可能性は、主に以下の三つの要素に依存します。
レーザーの出力
レーザー兵器は、目標にダメージを与えるためには十分な出力が必要です。
一般に、数キロワットから数メガワットの出力が必要とされます。
しかし、高出力のレーザーは大きくて重くなりやすく、また発熱や消費電力も問題になります。
レーザーの伝播
レーザー兵器は、空気中や真空中で目標まで伝播する必要があります。
しかし、レーザーは大気中では散乱や吸収を受けやすく、また曲率や屈折率の変化によって屈曲する可能性もあります。
これらの要因は、レーザーのエネルギー損失や照準誤差を引き起こします。
レーザーの反応
レーザー兵器は、目標に当たった時にどのような反応を起こすかによって効果が変わります。
レーザーは、目標の表面に熱や圧力を加えることで穴を開けたり爆発させたりします。
しかし、目標の材質や形状によっては、反射や拡散を受けて効果が低下する可能性もあります。
実現している現代のレーザー兵器
レーザー兵器の開発と実用化
レーザー兵器というと、SF作品に登場するオーバーテクノロジーの世界を思い浮かべるかもしれません。
しかし、実は現代でもレーザー兵器は開発されており、上述の実現可能性に挙げた3つの要素をクリアして、実用化に向けて進歩しています。
レーザー兵器とは、レーザー光を照射して目標を破壊する兵器のことです。
レーザー兵器には、以下のような特徴があります。
直線的伝播
レーザー光は直線的に伝播するため、銃弾などと違い風や重力の影響を受けません。
そのため、高速で遠距離の目標を正確に狙うことができます。
補正する要素が空気や空気中の物体による屈折くらいであり、その影響も小さいため命中度を高く保てます。
着弾までの時間の少なさ
レーザー光は発射から着弾までの時間が極端に短いため、標的の移動による補正を必要としません。
標的が動く事を考慮して標準を合わせる必要がなく弾道計算が用意です。
発射した瞬間に着弾するため回避される時間を与えません。
弾薬不要
レーザー兵器は弾薬を必要としません。
電力さえあれば、連続的に発射することができます(ただし高出力になると機器の冷却時間を要します)。
そのため、弾薬の補給や保管の問題を解決することができます。
現代のレーザー兵器
現代のレーザー兵器は、主に以下のような用途に使われています。
対空防衛
レーザー兵器は、ミサイルやドローンなどの空中目標を迎撃することができます。
例えば、アメリカ海軍はレーザー兵器システム(LaWS)というレーザー砲を開発し、艦船に搭載しています。
LaWSは、30キロワットのレーザー光を発射して、約1.6キロメートル先の目標を破壊することができます。
対地攻撃
レーザー兵器は、地上の車両や建物などの目標を攻撃することができます。
例えば、アメリカ空軍は高エネルギーレーザー砲を開発し、航空機に搭載して発射試験と破壊試験をクリアしています。
対人攻撃
レーザー兵器は、人間の皮膚や眼球などにダメージを与えることができます。
例えば、中国人民解放軍はZKZM-500というレーザーライフルを開発。
ZKZM-500は、0.5キロワットのレーザー光を発射して、約800メートル先の人間を負傷させることができると主張しています。
また、米国国防総省が開発していたPHASRライフルという兵器は携行できるライフル型のレーザー銃で、致死兵器ではないものの、一時的な失明や激しい痛みを与えることができる兵器でした。
「失明をもたらす兵器に関する国連議定書」を米国が承認したため、開発は終了しました。
以上のように、現代のレーザー兵器はSF作品に登場するものに近づいています。
レーザー兵器実現への課題
上述の通り、既に実現しているレーザー兵器もありますが、まだまだ課題が多いのも事実です。
その課題について。
電力消費量
レーザー兵器は大量の電力を消費します。
そのため、電源の確保や冷却の問題があります。
着弾の判断
レーザー兵器は目に見えない光であったり、物としての弾丸がありません。
そのため、目標の確認や命中の判断が難しい場合があります。
人道的倫理的問題
レーザー兵器は国際法や人道法に適合しているかどうかが不明確です。
そのため、使用する際には倫理的な問題が生じる可能性があります。
レーザー兵器が登場するSF作品
最後に、レーザー兵器が出てくるフィクション作品についてです。
レーザー兵器は、SF作品において様々な形で登場します。
ここでは、レーザー兵器が重要な役割を果たす代表的なSF作品をいくつか紹介します。
スター・ウォーズ
スター・ウォーズは、銀河系を舞台にした壮大なSF映画シリーズです。
スター・ウォーズに登場するレーザー兵器は、主にブラスターと呼ばれる銃や、ライトセーバーと呼ばれる剣の形をしています。
ブラスターは、ガスをプラズマ化して発射する武器で、色や音が特徴的です。
ライトセーバーは、レーザーを円筒状に束ねて刃とした武器で、色や音が個性を表します。
スター・ウォーズにおけるレーザー兵器は、主に戦闘や決闘のシーンで使用されます。
スタートレック
スタートレックは、宇宙探査をテーマにしたSFテレビドラマシリーズです。
スタートレックに登場するレーザー兵器は、主にファセラと呼ばれる銃の形をしています。
ファセラは、粒子ビームを発射する武器で、威力や効果範囲を調節できます。
ファセラは、主に自衛や攻撃のシーンで使用されます。
レッド・ドワーフ
レッド・ドワーフは、宇宙船内でのコメディを描いたSFテレビドラマシリーズです。
レッド・ドワーフに登場するレーザー兵器は、主にバズーコイズ(Bazookoid)と呼ばれる大型の銃の形をしています。
バズーカは、高出力のレーザーを発射する武器で、爆発的な効果を持ちます。
バズーカは、主に危機や冒険のシーンで使用されます。
まとめ
レーザー兵器は、SF作品においてオーバーテクノロジーとして描かれることが多いですが、現実にも様々な研究や開発が行われています。
レーザー兵器の技術的な原理と実現可能性、そしてレーザー兵器が登場する代表的なSF作品について紹介しました。
レーザー兵器は、今後もSF作品のインスピレーションとなりつつ、現実の武器としても進化していくでしょう。