ラー油。歴史と製造方法。世界の「唐辛子+油」の調味料と日本での進化。

 

餃子をはじめ、ラーメン、チャーハン、よだれ鶏、叉焼などのつけだれや、冷ややっこ、そのまま白いご飯!?に掛けても合う「ラー油」。

 

今や、そのまま食べる「食べるラー油」も出現したポピュラーな調味料としての地位を確立しています。

 

中国生まれの調味料ですが、実は、その誕生ははっきりしていないようです。

 

ラー油

 

 

ラー油。歴史と製造方法。世界の「唐辛子+油」の調味料と日本での進化。

 

 

 

ラー油(辣油)の歴史

 

ラー油は中国生まれだが、歴史ははっきりしない部分が多い調味料です。。

中国にて誕生し歴史を歩み始めたのは17世紀以降で、不明な点が多くはっきりした年代はわかりません。ただし、主原料の唐辛子が中国に伝えられた時期が17世紀以降であるため、ラー油の発明もそれ以降と考えられています。

辣油の主原料である唐辛子の原産地は中南米で、1492年にコロンブスが新たなる大陸を見つけた後、ヨーロッパを介して世界中に行き渡った歴史があります。

 

文献上では、1578年の『本草綱目』にはなく、1591年の『草花譜』および『遵生八牋』という文献に登場するものが最古の様です。

ただし初期は観賞用で、中国で唐辛子が料理に使用されるのは19世紀初頭と推測されており、ラー油の起源もそのあたりと考えられます。

中国での唐辛子の使用が19世紀になってからですので、四川料理が辛くなったのもそのあたりと推測されます。

 

唐辛子

 

唐辛子そのものが日本に伝えられたのは、中国よりも早く1500年代ですが、唐辛子を用いて国産ラー油が作られるようになったのは、それからずっと後の1966年の事です。

日本で初めて販売したのは今日においても経営し続けている食品会社で、中華料理に使用する調味料オイルとして販売され各家庭に広く行き渡ったのと同時に、みるみるうちに知名度も高めていきます。

 

 

 

ラー油の作り方

作り方についてはごま油を基本とし、ごま油の中に唐辛子を含む様々な香辛料を投入してから熱を加え、一定の温度にまで達したら余熱を活用してしっかりと抽出を行います。

こうした簡単かつシンプルな作り方をするのみで、基本であるごま油に辛さが感じられる風味などがきっちりと移るため、馴染み深いラー油が出来上がります。

より一層本格的な仕上がりを目指したい時には粉末状の唐辛子を使用するのがポイントであり、唐辛子粉と共に色々な香辛料を混ぜ合わせつつ少量の水を追加して練り上げ、200度にまで温度を高めてある油を少量投入します。

前もって少量の水を使用して練り上げておく理由は、高温の油の中に入れた際に焦げてしまわないようにするためです。

 

油を入れる毎にきっちりとかき混ぜつつ、全てを投入する事ができたら少しの間置いておけば完成し、日本においては上部に浮き上がってきた油のみを使用するものの、中国では粉が下部に沈殿した状態のまま使用します。

 

 

 

世界の「唐辛子+油」の調味料と日本での進化

 

ラー油は欧米でも「チリ・オイル」として用いられています。

イタリアでは、ラー油とよく似たペペロンオイルがあり、カラブリア州南部が起源とされる調味油で、唐辛子とオリーブオイルから作られる。

ポルトガルではPiriPiriと呼ばれるオイルがあり、こちらもイタリアのペペロンオイルと同じくオリーブオイルと唐辛子から作られますが、こちらは加熱しません。

 

日本でも中華料理に用いるオイルとして生み出されて販売され中国でも調味料として出回っていましたが、特に日本では独自の進化を遂げているのが特徴的です。

餃子などの食べる時に浸す物としてよく知られているのはもちろん、今日ではラー油が主役になっている事例も稀有ではなく、刻んだガーリックと共にご飯に掛けて食べる種類もあり「食べるラー油」が、もはや、いちジャンルを築いています。

日本国内では、上記食べるラー油の他、ゆず唐辛子調味油(有限会社ケイズコーポレーション)や花椒どろ唐辛子(東京麺珍亭本舗)など、ラー油に柚子や花椒を加え、独特の風味を出した商品も見受けられます。

 

ゆず唐辛子調味油(有限会社ケイズコーポレーション)

花椒どろ唐辛子(東京麺珍亭本舗)

 

 

 

 

調味料のカテゴリーの記事一覧